特別養護老人ホームで生活している文福くんは、看取り犬として多くの入居者を見送ってきました。
文福くんは、家族と離れて暮らす事になった高齢の入居者達と楽しく暮らしていますが、入居者の死期を悟り最期まで傍で見守っている名犬です。
文福くんは、今までにどの様な奇跡を起こしてきたワンちゃんなのか?と話題を呼んでいます。
そこでこの記事では…
文福(看取り犬)が暮らしている所
文福(看取り犬)の不思議な能力エピソード
文福くんの活躍を含め、未知なる犬の力や動物の大切さをお伝えさせていただきます。
文福(老人ホーム看取り犬)の現在は何歳?
文福くんは、15歳前後(推定年齢)です。
文福くんは、保健所に居た保護犬ですので、正確な年齢はわかっていません。
しかし獣医師によると、歯の状態をみるとだいたいの年齢がわかるそうです。
年齢や体重によって、病気になった時の薬も
変わってくるもんね。
保健所では段階があり、文福くんは死と隣り合わせの最終部屋に居ました。
筆者は保健所に居るワンちゃん達を保護する活動を行っている「NPO法人ピースワンコジャパン」の支援をさせていただいております。
動物と会話ができると言われるほどに動物好きの筆者は、保健所に居るワンちゃんの事を考えると涙なしには記事を書く事ができません。
しかし飼い主から捨てられた犬達の現状を知っていただきたく記事を書く事にしました。
文福くんが居た保健所の最終部屋というのは、死を意味するガス部屋と隣り合わせです。
犬に限らず動物は自分の死期を悟ります。
自分の順番が来ると、涙を流したり怖くてオシッコを漏らしてしまう子も居ます。
そういった死が間近に迫っている部屋に居た文福くんでしたので、ガス部屋で苦しみながら亡くなっていく他の犬たちの声を聞き、とても怖かったと思います。
しかし文福くんは「ちばわん」という保護犬の団体に保護されました。
ちばわんの皆様、本当にありがとう…
ペットを飼う覚悟
まず、安易な気持ちでペットを飼ってはいけません。
可愛いからといった安易な理由で犬や猫を飼い、言う事を聞かないとか病気になってお金がかかるからといった理由でペットの飼育を放棄する心無い人が居る残念な事が起きています。
動物を飼うという事は、人間の子供を育てるのと同じで当然栄養バランスを考えながら食事をあげ、病気にならない様に、ワクチン接種も定期的に必要です。
また、病気になった時には治療や手術が必要です。
人間の言葉が話せない動物の感情や体調の変化は飼い主が責任をもって察知しなければなりません。
近年はペット保険ができ、加入する人も増えていますが、実費の場合は少しケガをした場合でも数万円要しますし、仮に白内障などの目の病気になった場合だと、両目で20万円~30万円は最低でも必要です。
筆者の家のワンちゃんは、片目が腫れて週に一度3ケ月ほど通院しました。
治療、よくがんばったね。
診察を受けて目薬と飲み薬をもらいますが、検査費用+治療費と調剤費毎が週8000円必要で、3ケ月トータル20万円ほど要しました。
こういった金銭面でも覚悟が必要ですので、ペットショップ等で目が合って可愛かったら飼うといった安易な気持ちで飼う事のない様、譲る方も譲り受ける方も良く考えて欲しいです。
文福がいる施設は特別養護老人ホーム「さくらの里山科」
文福くんは「ちばわん」から老人ホーム「さくらの里山科」の和歌山三千彦施設長に預けられました。
さくらの里山科は2012年4月にオープンした犬と暮らせる特別養護老人ホームです。
「犬と暮らせる」をテーマにオープンした施設で、文福くんはここで入居者の方々との楽しい日々を過ごしています。
入居者の方は犬が大好きな方が多いので、文福くんはとても大切にされています。
動物って人間の愛情がちゃんと伝わってるんだよ。
みんなに大切にされている文福くんは、入居者の方達が辛い時苦しい時、いつも傍に寄り添ってくれるとっても優しい子です。
さくらの里山科には、今まで9匹のワンちゃんが過ごしてきましたが、死期を悟って「自ら看取り」をしているワンちゃんは文福くんだけです。
文福が「奇跡の犬」と呼ばれる不思議な能力エピソード5選
「奇跡の犬」と言われている文福くんは、20人以上の入居者を看取ってきた名犬です。
文福の不思議な能力
・文福のエピソード①死期が近い(老衰)入居者の傍を片時も離れない
・文福のエピソード②死期が近い(老衰)の入居者に自分の匂いをつける
・文福のエピソード③ナースコールの代わりに職員を呼びに行く
・文福のエピソード④認知症の入居者の悲しみを察した
・文福のエピソード⑤施設長が文福の著書を発売
文福くんは、老衰により死期が近い入居者や緊急時に、多数の方々の心や危機を救ってきました。
文福エピ①死期が近い(老衰)入居者の傍を片時も離れない
文福くんは入居者の死期を悟り、食事と排泄の時以外、入居者の傍を離れません。
文福くんはいつも元気いっぱいですが、悲しい表情をしているけどどうしたのかな?と職員の方が思っていたら、仲良しの入居者が翌日に亡くなりました。
さくらの里山科は、入居者がペットと一緒に生活できる施設です。
愛犬や愛猫と一緒に入居している方に対して、文福くんは「この入居者には、傍に居てくれる犬(猫)が居るから大丈夫だね」と察して、少し遠慮気味に接していますが、入居者の死期が近くなってくると、その部屋の近くでじっとしています。
お別れが近くなると、少しでも傍に寄り添いたいという想いなんだね…
ペットがいない入居者に対しては亡くなる数日前になると、部屋に入りベッドの上に上がってペロペロと顔を舐めます。
その際は職員の方が文福くんを呼びに行っても入居者の傍を離れず見守り続けていると、施設職員の方が語っています。
文福くんは、入居者が元気だった時とは違った行動をする為に、職員は文福くんの行動を見て入居者の死期を察する様になりました。
文福エピ②死期が近い(老衰)の入居者に自分の匂いをつける
文福くんは入居者の死期を悟ると、寄り添って自分の匂いをつけます。
死期が近づいた入居者の匂いには変化があり、その事を悟った文福くんは「僕がついてるよ」と言わんばかりに自分の匂いを付けます。
文福くんは、重度の病気によりお亡くなりになる入居者の看取りは行いません。※医療的な観点からだと考えられます。
老衰の場合のみ看取り犬としてかつやくしています。
老衰により死期が近くなると食事どころか水分もなかなか摂れず、血圧が下がっていきます。
そんな状況下で、死期が近くなると身体の匂いに変化が現れます。
人間はマスクも着用していますし、なかなかこの匂いに気付けない可能性が高いです。
しかし犬は嗅覚に優れていますので、文福くんは入居者の匂いの変化を察知する事ができるのでしょう。
犬の嗅覚は人間の3000倍から10000倍だよ。
そうは言っても日頃から入居者と触れ合って居なければ難しいと思いますので、いかに文福くんが日頃から入居者と深く接し合って居たかがわかりますね。
文福エピ③ナースコールの代わりに職員を呼びに行く
筆者が一番驚いたのは、認知症でナースコールがわからない入居者の代わりに文福くんが職員を呼びに行く事があります。
認知症を患っている方の中には、自分の意思表示が難しい方もいらっしゃると思います。
そういった中でナースコールのボタンが押せない方も居る為、緊急時などは職員が体調の変化に気付けない場合も出てくるでしょう。
命の危険が迫っている事もあるから、
ナースコールは命綱だよ…
そんな時、入居者の方の様子がおかしいと思った文福くんは、ナースコールが押せない方に代わって職員を呼びに行きます。
しかも文福くんが職員を呼びに行く事は一度や二度ではなく、頻繁にあると施設の方が語っています。
こんなに頭のいい子が居るなんて、犬の能力は計り知れませんね。
文福エピ④認知症の入居者の悲しみを察した
文福くんは泣いている認知症の方を抱きしめて宥めるといった行動を取ります。
家族が面会に来て楽しそうにしていた認知症を患っている入居者は、家族が帰る際「自分の事を捨てるのか」と泣いてしまいました。
決して捨てるわけではありませんが、認知症の方にとっては捨てられたと感じるのでしょう。
そんな様子を目の当たりにした文福くんは、泣いている入居者に駆け寄り抱きしめました。
文福くんの行動により気持ちが落ち着いた入居者は「この子が居るから大丈夫」と安心感を覚えたのではないでしょうか?
動物に触れると気持ちが落ち着く事は、
医学的にも証明されているんだよ。
人間以上に人の心がわかる文福くんは、計り知れない奇跡の行動を多数起こしています。
筆者は認知症の家族を看取った事がありますが、認知症の人って小さな子供と一緒なんです。
ただ抱きしめてあげるだけで子供は安心感を覚えます。
そういった事を人間以上に理解している文福くんは、身勝手な人間により保健所に送られ、死を目の前にしていた辛い過去がありますので、誰よりも人の苦しみや辛さを察する能力に長けているのでしょう。
文福エピ⑤施設長が文福の著書を発売
さくらの里山科の施設長を務めている若山三千彦さんは、文福くんにまつわる著書を発売しています。
こちらの著書は文福くんが看取り活動をした感動のエピソードが多数記されています。
一部ご紹介いたしましたが、文福くん以外のワンちゃん達についても紹介しており、
・余命3ケ月と言われた入居者と愛犬チロとのエピソード
・愛犬ナナと一緒に難病のリハビリをした高齢女性のエピソード
・愛猫ゆうすけと心中しようとまで思い詰めていた高齢女性のエピソード
・看取り活動をしていた保護猫トラのエピソード
等、ワンちゃんや猫ちゃん達に命や心を救われた方々のエピソードが記載されていますので、涙なしでは読む事ができません。
この著書は大ヒットとなり、テレビ番組で取り上げられる事も多々あります。
まとめ
文福(看取り犬)が暮らしているのは神奈川県横須賀市太田和にある老人介護施設「さくらの里山科」
文福(看取り犬)の不思議な能力エピソード
入居者の死期を悟り常に傍で寄り添う
入居者の死期を悟り自分の匂いを付けて安心させる
認知症の方がナースコールを押せない為、代わりに職員を呼びに行く事多数
泣いている認知症の方を抱きしめて安心させる
文福の著書を発売
看取り犬「文福くん」についてまとめていきましたが、いかがでしたでしょうか?
文福くんは、20人以上の施設入居者を看取ってきました。
入居者と文福くんは、お互いに家族同然と思っていますので、家族が亡くなる事に文福くんはたくさんの悲しみを抱えている事と思います。
その為、文福くんに対するグリーフケアも必要ではないか?と心配です。※グリーフケア(身近な人の死への悲しみをケア)
気丈にに振る舞っている様子なので余計に心配ですが、元気な入居者の方々との触れ合いにより、文福くんも癒されている事を願うばかりです。